2023年12月25日
安いよ!安いよ!お買い得?
投資信託には基準価額というものがあります。株式の株価のようなものです。株式の場合は1株あたりの値段ですが、投資信託の場合は、基準口数(大抵は1万口)あたりの信託財産(純資産)です。
株式では、株価の絶対水準によって、値嵩株とかボロ株とか表現したりします。投資信託は、設定時に10,000円からスタートする場合が多いので、現時点の基準価額が1万円を割っていれば、設定時に購入したかたは損をしていることになります(もっとも、分配実績がある場合はその分をかさ上げする必要がありますが)。以前、証券マンなどの投信販売をしているかたが、「1万円を割っている投信は売りにくい」と言っているのを見聞きしました。世の中には、全くの不合理かつ馬鹿げている話が多くありますが、これもそのひとつです。つまり、基準価額の水準自体は情報としてほぼ意味はありません。私のブログと同様気のせいの類ですね。何かを判断するにはいろいろと比較したりしますが、基準価額という数値だけでは何も判断はしようがありません。もっとも、ファンド・オブ・ヘッジファンズのように絶対リターンを目指しているものはこの限りではありませんが…投信の良し悪しを判断するにはリスク・リターン特性などの定量分析と、運用哲学との実態の整合性などの定性分析が必要なことは以前、ブログに書いた事はあります。あとは、信託報酬の料率などのコスト面も重要ですが。
この「1万円を割っている投信は売りにくい」という話を、以前、在籍していた運用会社の営業会議で営業担当のかたが話してたので、思わず「じゃあ、証券会社ではなくて、ジャパネットた〇たに売ってもらいますかね。例えば、「設定時1万円だったこの投資信託、今ならなんと5千円!安い!しかも販売手数料はお客様のご負担となります!」とか言ってもらって」と発言したら、怒られました。
やや論点は変わりますが、過去の定量分析で単純に収益率が悪い場合でも、一貫したスタイルをとっているものは評価できる場合もあります。スタイル・ローテーションとも言われたりしますが、年金運用の手法の一つで、一定の期間成績(?)が悪かったものをあえて選択するという発想があり、似たようなものでリターン・リバーサルが挙げられます。簡単にいうと、成績の良し悪しは実力というよりは運によるものであるため、運というものが一定の水準ほど平等に(?)存在するのであれば、不運の後には幸運がくるというところでしょうか?でも、一定のスタイルを維持せずに、場当たり的(機動的とか臨機応変という表現もありますが)に行動しているものは対象外です。
Posted by 木原 昌彦 at 00:01│Comments(0)
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