2023年07月09日
首にロザリオ?チャーチスト!
大学生の時、私がある意味、影響を受けた友人が一人います。非常にクレバーな人物でした。彼は小学生の時から株式の勉強をして、高校生の時に株式取引を始め、株式投資で儲けたお金で大学の学費を捻出したり、高級車を購入したりしていました。その投資スタイルはいわゆるチャート分析もしくはテクニカル分析を踏まえたシステムトレードでした。世間一般で出回っているテクニカル分析を単に利用するだけではなく、独自に開発したものをプログラム化して自動的に取引を行うというものです。最近だとFXで同様のことを行っている人やその投資手法を販売している会社も多く見受けられます。
チャートとは元々は海図という意味ですが、株式投資の世界では、株価などの数値情報をグラフで表現したもののことです。グラフというのは何かを人に伝えるには便利なのですが、「百聞は一見にしかず」とはいうものの、人間は視覚情報にだまされることが多いので、わかりやすいのではなくて、わかったような気がしやすいというのが現実的だと考えています。
チャート分析の代表格は、移動平均法やエリオット波動理論、ギャン理論といったもので、日本のものだと酒田五法や一目均衡表などがあります。ちなみに日本では、江戸時代の米相場の時代からチャート(?)分析はあったようで、この分野の歴史は西欧より古いようです。
チャート分析とテクニカル分析は、ほぼ同意義の言葉として流通している感はありますが、グラフ化を必ずしも必要としない点では、テクニカル分析の方が広義であると考えられます。共通している原理というか基礎となる認識は、「全ての情報は価格に反映されている」、「市場の動きも自然の摂理に従う」、「歴史は繰り返す。なぜなら人間は歴史から学ばないから」といったところに集約されるかと思います。なんとなくわかったような気もしますが、私はあまり熟考したことないので真偽のほどは不明です。
私は業務上でファンダメンタル、テクニカル、クオンツなどの分析手法をかじりましたが、どれが優れていてどれが劣っているなどとは考えてはいません。なぜならいずれも様々な環境下において有意の確率で成果が期待できるものはほとんど存在していないという現実からです。もっとも、仮にそういったものが存在していたとしても、それを知る人がほかの人に教える動機付けが考えにくく、世間に広まるのも希だと思いますし、また仮にそれが広まったとしても、同じ行動をとるひとが増えるため、その手法の有効性は低下するかとも考えられます。
話をテクニカル分析に戻すと、大きく分けて2種類のタイプが存在しますトレンドフォロー型とオシレーター系と言われるものです。前者は、価格変動のトレンドなるもに追従するということですが、トレンドという言葉も曖昧で厳密な定義が難しいものの、この手法は乱暴な表現をすれば上がり始めたら買って、下がり始めたら売るといったものです。一方、オシレーター系というのは市場の過熱感や過冷感(?)を、何らかの数値で表現し、市場の潮目を察知することを目的にしています。市場はトレンドが形成する過程か、方向性の向きが変わる時点のどちらかに位置する(これも人間の勝手な認識?)ために、この二つの手法のどちらかは当たるという仕組みではあります。しかし、トレンドとは、現実的には後講釈であることが多いですし、事前どころかその時点でも現状がどちらになるのか認識は困難なので、やはり理論的背景よりは感性が重要なのかもしれません。考えるより感じろ、信じろということかもしれません。
冒頭に書いた友人に、大学卒業後数年したころ、兜町か茅場町あたりでばったり会ったことがあります。彼は当時、日本テクニカルアナリスト協会という団体の会員で、その会合で使われた資料を見せてくれました。その資料にはアンモナイトの化石の写真が掲載されていて、アンモナイトの渦巻きの縞の比率と株価変動の比率の比較や、黄金率やフィボナッチ数列について書かれてありました。会員になるには結構難しい試験を突破する必要があるようでした。私は努力するのは苦手なので諦めました。
Posted by 木原 昌彦 at 18:12│Comments(0)
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