2016年04月17日
成長を愚弄する?
よく周りに言っていることですが、私は癒し系ならぬ、冷やし系です。言動がその場を冷やしたりすることがままあり、夏場にはもってこいかと考えておりますが、意識的にリミッターをかけていないと(つまり自然体)、人の話の腰を折ってしまうこともあ多々あります。やはり、コミュニケーションを円滑にするには、なるべく人の話の腰は揉むようにしたいと思っています。
ところで投資にはいろいろな対象や手法、スタイルといったものがあります。株式投資に限定すると、投資目的はインカムゲイン(配当)とキャピタルゲイン(値上がり益)の獲得となるかと思います。前者はとりあえず多くの場合、比較的安定的ではありますが、後者は不安定で、ほぼ(?)予測が不可能とも言えます。
株価の変動には、外部要因も多く考えられますが、結局のところ当該企業の(1株あたりの)利益水準とその成長期待に寄ると考えられます。つまり株価が上がるには、単純には企業が成長する必要があるということです。
一昔前(?)の証券マンのセールストークには、「お客さんに夢を買ってもらう」というテーマがありました。勧める投資対象の企業や業界、国(外国の株や債券を組み入れる投資信託などの場合)のバラ色の未来を説明するということです。しかしながら、結果がともなうことは少ないケースです。なぜなら、将来に対する明るい情報は既に水面下で(?)出回っていることが多く、価格に織り込まれていることがままあるからです。「夢を望む」と書いてムボウと読んだりすることもありますが、末端の営業マンの話や新聞記事、ニュースで放送される内容には、投資価値のある情報としては、ほぼ最終局面を示すのみという場合が多く見受けられます。
また、高い戦略性を持ったビジネスモデルを有する企業もあるものの、それが成功するかどうかは、多くの不確実性をクリアする必要があり、実はコントロールできないことのほうが多いとも感じられます。よく言われることですが、できない理由はいくらで出せるものの、それを実現させるというアイデアは希少かもしれません。もちろん、アイデアがあるということは重要ではありますが、当然のことながらリスクがあり、成功や成長の期待が高いほど、それが裏切られた時の落胆は大きく、株価の値下がり率も大きくなると思われます。こういった理由で、成長(すると思われる)株に投資するのはリスクが高いということになります。
成長株投資をグロース(Growth)投資と表現することが資産運用業界では一般的です。私はアナリストという仕事をしていたころ、正直、このグロース投資というスタイルに疑問を持っていました。理由は企業を取材したり、機関投資家向け説明会などで、仮にポジティブな話を聞けたとしても、そんな情報は自分だけが持っている訳ではなく、また、自身の企業分析で有望な銘柄かと思うことはあっても、その成長プロセスの実現には多くの前提条件があるだけでなく、結果としての証券投資では、確率論的には五分五分と思えました。そのため、自分自身のスタイルは徐々に割安株、いわゆるバリュー(Value)投資へと導かれました。大儲けは期待できないものの、負ける確率が低いほうを選んだということです。バリュー投資では、証券分析の父と言われているベンジャミン・グレアムや、その弟子で著名な投資家のウォーレン・バフェットがいます。面白みはないかもしれませんが、非常に合理的ではあると、彼らの著作等を読んでいて感じました。
成長株を見つけることは楽しいですね。結果を出すのは非常に困難ですが…ちなみに私は第3次性徴期です…
Posted by 木原 昌彦 at 23:52│Comments(0)
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