2024年01月08日
スタイリッシュ?

私は子供の頃からスポーツと同様にファッションに興味持ったことはありません。入学した大学が、世間では比較的お洒落な大学というイメージがあったようで、ある時、郷里の母からお米などが送られてきたのですが、ダンボール箱の中にメンズノンノという雑誌が一緒に入ってました。当時は大沢たかおさんや松雪なんとかさんがモデルで出てました。まあ、母としてはファッションに興味のない息子へのアドバイスのつもりだったのでしょうが、メンズノンノって高校生向けだったような気がします。しかしながら、実際の行動は変わらず、甚平に雪駄で渋谷のキャンパスに行ったことも何度かあります。でも、たしかに私の周りにはお洒落でスタイリッシュな学生が多くいたようにも思えます。
ところで、以前も書いたことありますが、資産運用にはスタイルと言われれるものがあります。まあ、投資手法という意味合いのほうがわかりやすいでしょうが、例えば、株式でいうと、成長期待の高い小型株を探すとか、安定していて割安な株、配当利回りの高い株などを選別するというのもあります。また、初期段階の投資候補銘柄群をユニバースという表現で言うこともあります。そのユニバースから、特定の条件によって機械的に選別することをスクリーニングと言ったりします。
スタイルには、以前も書いた、バリュー(割安株)、グロース(成長株)、スモールキャップ(小型株)などの分類の他にも様々なものがあり、割とメジャーなものとしてクオンツ(定量的手法、システム運用も含まれるかな?)やボトムアップ(リサーチによって個別銘柄を探す)、トップダウン(経済分析等による業種やテーマの選択等)などがあります。セクターローテーションやアノマリーに注目したりします。また、アクティブやパッシブという分類もあり、前者は何らかの手法によってベンチマークを上回る収益を目指し、後者はインデックス運用に代表されるようにベンチマークとの連動性を目的とするものや、フォーミュラ運用といって機械的なルールで決める(システム運用にも似てますし、アクティブな面もあるので体系的な分類にはならないケースもあります)ものもあります。
定量分析は分析手法を教科書的に勉強すればだれでもできますが、定性分析はそれなりに素養や訓練を必要とするような気がします。様々なスタイルがあり、どれが優れているとは一概には言えません。しかし、定性分析においては、まずは投資哲学というものが存在し、その哲学の元に投資目的が設定され、スタイルが選択されます。そして一番重要なのは、それを実現するためのリソースがあるかということと、哲学から実務に流れる一貫性があるかどうかということです。
よく、「プロが運用します」とか、ひどい時には「頑張ります」という説明があります。前者については、本当にプロフェッショナルなかたはほんのひと握りであるという現実がありますし、後者は単に「僕を男にしてください」と言ってるのとたいして変わらないような気がします。
多種多様なファンドのスタイルから選ぶには、このような内容について共感できるかどうかということが大切なのではないでしょうか?もっとも、互いに相関の低い、スタイルを分散させるということもリスクリターン特性を改善することにもなります。金融マンに勧められた時に、この観点で質問するといいかもと思います。そうしないと単に手数料や信託報酬の高いものを勧められるかもしれません。適合性の原則違反で…
2024年01月05日
外貨建資産を組み入れた投信の時価評価

先日ヘッジ目的のために外貨建て資産を持つということを書きましたが、書き忘れた余談(?)があったので追加します。
外貨建て資産はその名のとおり、外国通貨建てですね。当然、為替が絡んできます。一般的な国内の公募投信の場合、基準価額は円表記ですね。もちろん、外貨建て資産の時価に為替で円建てに変換している訳です。
外国の市場とは時差がありますので通常、前日のもっとも近い営業日の現地の時価を、日本国内当日の為替で評価します。前者については、例外としてファンド・オブ・ファンズや外国籍投信を組み入れたものの場合、現地市場の時価がずれることもあります。後者については投資信託協会が採用している為替を利用しますが、実は、三菱東京UFG銀行が午前10~11時くらいに発表している為替をと同じものです(以下URL)。Excell形式でもダウンロードが可能なので便利です。
http://www.bk.mufg.jp/gdocs/kinri/list_j/kinri/kawase.html
為替は通常、売買によって値段に差(スプレッド)があり、T.T.S. と T.T.B.と言われます。投信の評価に使用する為替は、T.T.M.と言われ、T.T.S.とT.T.B.の仲値になります。
このように、該当する外貨建て資産を組み入れた投信の時価評価方法について知っていれば、当日の午前中には騰落率をおおまかには予測できます。もっとも、ベンチマークに対してアクティブリスク(もしくはトラッキングエラー)が高いケースではその限りではありません。
ちょっとマニアックなものとしては、外貨建て資産を組み入れた円建ての外国籍投信の場合は、WM/Reutersのレートが利用されていることが多いです。グローバルな株価指数を提供しているMSCIなども、円換算にこのレートを利用しています。
2024年01月02日
外貨建て資産でヘッジ?

最近は多少円高に戻りましたが、少し前まで150円台まで円安でしたね。政府はインフレターゲット政策をやってましたが、輸入インフレもまたじわじわと起こっているような気もします。物価が上昇しても、賃金の上昇がそれ以上に起きなければ、実質的に収入が減るだけでなく、将来のためにせっせと貯蓄しても、インフレ率分だけ目減りしていく訳です。
地元の銀行にUターン就職した際、一時期ですが投資信託の販売にも携わっておりました。入行前に一通り商品のラインアップはリサーチしており、銀行の顧客属性から、適合性の原則の中でどれを勧めるべきか考えたところ、取り扱いのあった30数本中2,3本しか見当たりませんでした。ある時、とある事業会社の経営者のところに営業に行きました。基本姿勢として、「この商品が儲かりますよ」というセールストークはしませんでした。というかそれをやったら金商法違反になります。まずは、その会社の事業内容をお聞きした上で、為替変動による影響を考慮しました。例えば、輸出などをしていなくても、仮に円安になった場合に海外から仕入れる原材料が高騰して収益が圧迫される可能性などです。そして、外貨建ての投資信託などをある程度持っていたら、いくらかはヘッジが可能となるということなどを説明しました。最近は、コモディティ関連のファンドもありますのでそちらを選択するという手もあります。もっとも、単純に儲け話が好きな顧客もいますので、その場合は、商品性、特にリスクを十分説明する必要もあります。
以前も書きましたが、資産運用は富裕層のためだけに存在している訳ではありません。儲けるというよりも、今後はインフレによる通貨価値の下落に備えるために必要不可欠かと考えています。年金も以前から言われているように不安ですね。政府はどうやら自らではなく、国民にリスクを転嫁したいような気もしますし、FXなどされないかたも、為替変動が大きく生活に影響を与えてくるようになるかと思いますので、全く考えないわけにはいきません。
そういえば、為替リスクを取りたくないために、日本株を選択するかたもいらっしゃるようですが、日本株は全体として為替の感応度が割とありますので、円建て資産だからといって実質的には為替リスクがないとは言えません。私は、10年以上前に運用会社を辞めた時に、会社で加入していた企業型の確定拠出年金を個人型に切り替えました。基本的に円安にベットするポートフォリオにしていたので今のところ運用成果は良好ですが、たまにはリバランスしようかと考えています。