2021年04月07日
弱ければ…強くなればいい?
スポ根、いわゆるスポーツ根性漫画というのが私が子供のころたくさんありました。
巨人の星とか明日のジョーとかいろいろありますね。最近は全く無い訳ではないかもですが主流とは言えないようです。つまり弱いことを恥じない、弱い自分でも認めてあげるという考え方が割と浸透したからかもしれません。それが正しいか正しくないかは個々の価値観が決めることです。しかし、会社や社会、国家などの組織となると構成員に弱点があるとそこからほころびが生じることもあります。そういったかたを多少コストを使って守ることができる余裕がある時ならともかく、差し迫った緊急の状況というのもあり得ます。
数年前にスパルタ教育の語源となったスパルタとペルシアの戦いを描いた「300(スリーハンドレッド)」という映画を観ました。なかなかビジュアルがすごかったですが、気になったのは当初ペルシアの大軍を300名で蹴散らしていたスパルタ軍は最後は残念ながら敗退して全滅となりました。負けたきっかけとしては従軍を希望した障碍者の兵士です。彼は家名の汚名返上のために死を覚悟していたかと思われましたが、王から足手まといとなるからという理由で従軍を断られました。実は当時の戦い方にはファランクスという集団密集隊形が採用されており、1人でも動きが合わないと致命的な弱みとなります。しかし断られたことを恨んだその兵士は、ペルシア軍に迂回路を密告し、結果として国を裏切る事になりました。王の判断は戦術の上では合理的ではありますが、従軍を断られた兵士の心情までは考慮が及ばなかったということになります。
話をスポ根の漫画に戻すと、私は小学生の時に漫画家を目指していた時期がありました。当時「リングにかけろ」というボクシング漫画が好きでした。作者の車田正美先生はのちに「聖闘士星矢」で有名になりましたね。私は小学生の時に車田先生にファンレターを送ったことがあります。「リングにかけろ」では、元々弱虫だった主人公の少年が不幸な境遇の中いじめられることに耐えれきず、強くなることを決意しボクシングを始めます。記憶にあるセリフとしては「強くなれば馬鹿にされなくなるのか、強くなればいじめられなくなるのか…姉ちゃん(実姉)、俺強くなるよ」というものがあります。まあなかなか現実的には厳しいものはあるかもしれませんが、主人公の少年は最後はライバルの天才ボクサーとの試合で燃え尽き、ともに死亡しました。
最後ですが、実話です。
以前東京で働いていたころ、私は当時在籍した会社の社長と何度か飲みに行ったことがあります。ある時以下のような話がありました。
社長 「最近お前の上司になった●●はどんな感じだ?」
私 「●●さんは頑張っていると思いますよ」
社長 「でも仕事に結果は出ていないな」
私 「それは会社全体のリソース配分に問題があるからだと思いますよ。●●さんのせいではないかと思われます。
社長 「まあでも、俺はまじめで頑張るやつが欲しい訳ではない。楽してもいいから結果が出せるやつを評価する」
私 「理屈はわかりますが、それって結果としていじめになりませんか?」
社長 「いじめられたくなかったら強くなればいいんだよ。それだけのことだ」
まあ社長の気持ちは今ではわからんでもないですが、結果として1年後くらいに別の問題で会社の方針と私の考えが乖離したために退社しました。
おまけ 「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」 レイモンド・チャンドラー
Posted by 木原 昌彦 at 14:37│Comments(0)