MLM考
ねずみ講と言われているものがあります。正式には無限連鎖講という名称で法律で禁止されています。合法化的なものとしてはMLM、つまりMulti Level Marketing、略してマルチ、もしくはネットワークビジネスというものがずいぶんと流行しているようです。基本的に先行者利益を前提としたピラミッド、もしくはマトリックス的な収益構造のようです。
ちなみにこれまで、アムウェイやニュースキンのほか様々なものを勧められたことがありますが、費やせる時間と労力の関係で実際に参画したことはありません。商材がまともなものもありますし、仕組み自体は特に否定してはいません。消費者価格には通常のケースでは生産者のコストや流通コストのほか広告のコストが含まれており、広告コスト分を個人が報酬として受け取るのか、マスコミや広告代理店が受け取るかの違いだけですし、大手マスコミや広告代理店が真実を伝えているかは不明のため一概にMLMだけを批判することはできないかと考えています。しかし、私の経験則では、接触してきた末端で活動されているかたや、セミナーなどで講師をされているかたの多くは知性、教養が欠落している気がしました。
経済学用語で、資産配分と資産分配というものがあります。前者はどのように資産(資本)を配分、つまりヒト、モノ、カネに投資するかということで、分配とは結果的に利益をどのように分けるかという意味合いです。事前か事後の違いですね。漢字の順番を入れ替えただけで全く意味が異なります。ほかには事情と情事もそうですね。
アナリストという仕事をしていた時に、一時期マテリアル業界担当となり、とある大手鉱山会社を取材したことがありました。当時、中国経済の勃興や資源ナショナリズムの影響でマテリアル価格が上昇してましたが、価格が上昇すると鉱山で働く労働者が分け前を要求し、ストライキが発生し易く、結果として稼働率が下がるという現象がありました。お会いしたIR担当者に「ちょっとくらい分け前を渡してもいいのではないですか?」と打診したところ、「彼らは言われたことを言われたとおりやっているだけで、何のリスクも負っていない。そんな奴らに何故プラスアルファの分配をする必要があるのですか?」と反論されました。もちろん、その会社で働くということ自体にリスクをテイクしているとは思われましたが、論点が噛み合わないと思って黙っていました。もっとも、私はコミュニストではありません。共産主義はまあ理想論であって、人間には高級すぎると考えています。
もちろん先行者には当然それなりにリスクがあることが多く、リスクプレミアムがあるのがフェアかとも思われます。でも世の中、制度や仕組みはいろいろあっても、それ自体に問題があるというより、そこに参画、もしくは運用する人間に問題があるとトラブルは生じかねません。民主政もそうですね。衆愚政に陥りやすいきらいがあります。おそらく仏造ってって魂入れず…はい!もちろん落ちはございません。